SPECIAL COLUMN

#6「港区で得た知見」/妹尾ユウカ

芸能人はテレビで観るもの

やはり芸能人というものはテレビで観るものである。偶像であるべきである。芸人は女に飢えているし、アーティストは痛いし、アイドルはチョロい。そして、仮面ライダー俳優はショッカーの数よりも多く存在し、駐禁のオジサンよりも港区内をフラフラしている。

30人以上が集まるホームパーティーや誰かのバースデーとなると、テラハ、あいのり、バチェラー、バチェロレッテあたりの出演者が必ず1体はいる。地元や渋谷くんだりではチヤホヤされてしまう彼らだが、こういった場で本物の芸能人と触れ合うことで「自分は芸能人ではない」という自覚を手土産に家路へついている。

10代の頃から芸能界で活躍し、若者らしい愚行を抑圧されてきた芸能人は30歳を超えても学生みたいな飲み方をする。ナンセンスな酔い方をする。「ここは高田馬場のロータリーか?」「なにこれ新歓?」と思うようなゲームをする奴や、くだらない喧嘩をする奴など、とにかくこのタイプの芸能人はアダルトチルドレンが多い。そういった俳優やアイドルを、主に経営者のオヤジが女の子を集めるための客寄せパンダのように使うので、気の毒に思うこともある。

ちなみに、最も厄介なのは売れてきた声優である。アニメを見ない者からすれば、誰だかサッパリ分からんのだが、声優はアニメファンから神格化されてしまうが故に「お前、神様のつもりか?」といった具合にイキってしまうこともしばしば。

タク代という名のお小遣い

ただの援交をわざわざ"パパ活"と呼ぶような気持ち悪さがここにもある。普通にもう「お小遣いあげる」でいいのではないだろうか?「これタクシー代」と言って、港区では平均3〜5万円のタクシー代を帰り際に渡されるが、文字通りのタクシー代として受け取るには多すぎる金額である。一体、どこへ帰れと言うのだ。この金で羽田空港にでも行って、東京から出て行けということなのだろうか。知り合いのオジからクラブのVIPに呼ばれて顔を出した際のタク代はもっとおいしい。間違えた、もっとおかしい。1年間、毎月顔を出せば贈与税がギリギリかかるほど貰えてしまう。こうしたボーナスステージがそこそこにあるせいで、タク代が1万円のただの飲み会には女が集まりにくくなっている。港区一年生の女子大生や昼職でなんとかVALENTINOのバックを買って、一生物にしようとしている女しか行かないのである。

妹尾ユウカ

独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、
『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。

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