心が不感症になっている

冒頭で、”未だに大人になった実感がない”という話をしたが、5年前と現在では変わったことがいくつかある。もしかしたら、これを「大人になった」と言うのかもしれないが、まず大抵のことでは驚かなくなった。泥酔して、墓のお供物を食べた女友達と、大晦日に皇居の芝生に入って警官に囲まれた女友達。彼女たちにはさすがに驚かされてしまったが、彼氏に嫁がいたとか、突然、姿を消したとか、酔って髪を掴まれたとか、妊娠をさせられたとか、そんなことではビクともしない。強くなったのかもしれない。けれど、その代わりに大抵のことでは感動できなくなってしまった。つまらなくなったのかもしれない。心が不感症になっている。

恋愛における「この人しかいない」という盲目さも、徐々に失われてしまったようで。昔は文字通り「この人しかいない」という世界が頭の中には存在していて、彼なしでは幸せなんて感じることが出来なかった。けれど、人生には”運命の人”を装う男が何人も現れるし、人に幸せを委ねることはバカげたことだと悟ってしまった。その結果、私の「好き」に依存が孕むことはなくなり、他者に自分を乱される機会も大きく減っていった。生きやすくはなった反面、時折、からっ風が吹いている。

本望ではないけれど

今回はたった25年ぽっちの生き様を一人振り返ってみたが、それでも人を愛することはやめられないというアホな結論に至る。悲観しているようで、まだまだどこかの誰かとの未来に期待をしているのだろう。そんな風に思えるのも、「最悪の場合、"私たち"とみんなで一つの施設に入り、"若い介護士に誰が一番好かれているか"小競り合いをして迎えればいいか」と思えるセーフティーネットのおかげなのだろう。本当に本望じゃないけどね。

妹尾ユウカ

独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、
『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。

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