「欲しいものは欲しいと言え」

欲しい物を前にした時、謙虚でいることを美徳とするのは損である。「欲しい」と言った人間と欲しそうな顔をした人間では、実際に与えてもらえる確率が違う。後者の振る舞いを心がけて暮らしていた頃は、欲しいものが手に入らないことよりも、自分が強欲な人間だと誰かに思われることを恐れていた。しかし、驚くほどに謙虚さというものはなんの役にも立たない。チャンスを取りこぼすだけである。

むしろ、本当に根っからの謙虚さがあるわけではないのに、欲しい物を前にして謙虚さをアピールすることこそ強欲であり、姑息である。なぜなら、そこには相手に謙虚というイメージも与えながら、欲しい物も手にしようという二つの欲が存在しているからだ。

謙虚さなんてものは、欲しいものを欲しいと言ったくらいではなくならない。手に入れたいものを手に入れたいと示したくらいではなくならない。他にも謙虚さを示す機会や方法はいくらでもある。「この人、謙虚に振る舞ってるけど本当は欲しいんじゃないかな」と察してもらおうとするのはさっさとやめろ。欲しい物を前にして、欲しくない顔をするのも意味がないからさっさとやめろ。察してもらえなければ手に入らないし、察してもらうという行為は相手へ労力を与えている。欲しいものには素直であれ。私はエメラルドカットのハリーが欲しい。

「なるべく綺麗でいろ」

これは容姿に限ったことではなく、全てをなるべく綺麗でいろ。「部屋の乱れは心の乱れ」と言うが、本当にその通りである。心が荒んでいる時は部屋もしっちゃかめっちゃかであることが多い。しかし、心が乱れて部屋が乱れるのならば、部屋を整えれば心も整うということだ。なんてお得な話なのだろう。誰しも経験済みだと思うが、部屋を綺麗にするだけで、心が少し満たされる。背筋が伸びた気分になる。そして、部屋を綺麗にすることの一番の魅力は、やり終えてから絶対に後悔しないという点。お風呂に入ることも同じである。

ついでに、人様に見せられないような小汚いすっぴんや、男に見られたくないダサいルームウェア姿は、自分にもなるべく見せない方がいい。外に出る時だけ上っ面を着飾ったって、日頃の自分が一番よく見ている自分の姿が綺麗でなければ、自己評価が下がるからだ。自分を綺麗だと思える時間をなるべく長く持ってほしい。

私も気が滅入りそうな時には、必ず丁寧にメイクをして、誰かしらをご飯に誘い、目的地まではなるべく歩く。オンラインで済む買い物だって、わざわざ百貨店まで出向く。人目の多い通りをマノロで歩き、時間があれば電車にだって乗る。繁華街を元気に通り過ぎる人たちの一員になることで、玄関を出てしまえば何も変わらない世界があるということを知れる。そして、実際には昨日と今日では同じ時間帯の同じ場所であっても、行き交う人たちは全く異なるので、「一見、変わらない世界にも新しい出会いがまだ残っている」という当たり前の希望が持てる。それらを手土産に家路に着くのだ。

最後になるが、幸運なことにこのコラムを書かせて頂いているサイトはRAVIJOURというランジェリーブランドであるため、これを読み終えた勢いで、気分の上がるルームウェアや下着を1着でいいから購入してみて欲しい。これを読んだあなたがパワフルに生きるための誓いの1着を手にしてくれたら私は嬉しい。だって、今この瞬間、私の言葉にどんなに感化されていたって、きっと明日には忘れてしまうのがお前たちだから。

妹尾ユウカ

独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、
『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。

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