合わないものは合わない
許せないことを許さなくてはいけない関係性はいらない。無我夢中で恋愛をしていると、こんな至極当たり前のことですら、忘れてしまったりする。以前は私も、恋人との関係が良好に保てないことを、自分のせいや相手のせいといった、誰かのせいにしてまで悩み続け、とにかく一緒にいることに固執していた。しかし、そんな恋愛をしていると、人は消耗されていく。満たされようとする旅の過程で、大きくすり減ってしまう。
今ならば分かるが、こういった恋愛が上手くいかない理由は誰のせいでもない。ライオンとウサギを一つの檻の中に入れ、「仲良く暮らせ」と言っても困難であるように、合わないものは合わないのだ。好きだろうがなんだろうが、合わないものは合わない。ウサギがどんなに足掻いたところで、両者の努力なしに良好な関係は築けない。そもそも、二人の関係を良好に保つために、一方だけが努力を強いられるというのはおかしな話である。
ホラーマンの自己肯定感
こうして私が少しばかり器用になった、あるいは"なってしまった"原因には、自己肯定感の向上も大きな理由の一つとして挙げられる。20歳を過ぎてからは、メンテナンスの域を超えた美容整形を繰り返し、きっと多くの人が羨むであろうものを容易く手にしては弄んできた。
その結果、ネット上でホラーマンと言われようが、晩年のマイケル・ジャクソンと言われようが、自分自身を美しくて尊い存在に感じているのだ。それ故に、私は大切に扱われるべき女であるという自覚がある。「イタい」と言われてしまえばそれまでだが、自分を守るにはイタいくらいがちょうどいい。ちなみに、昨晩は「妹尾ユウカ、久しぶりに見たらコープスブライドやん」という適切なツイートを発見したので、いいねを押しておいた。なんにせよ、彼らが言いたいのは「頬がコケすぎている」ということだろうが、これもまた自覚はある。
あなたの不安はあなたから
執着や依存を手放せたことは、少々、寂しいことでありながら、心配事がない分、とても身軽で生きやすい。「浮気をされているかも」「嫌われたらどうしよう」といった、澱んだ悩みを抱える時間がないだけで、暮らしは明るくさっぱりとする。浮気をされたなら別れればいいし、嫌われたならば仕方がない。本来、当たり前のことだが、「離れる」という選択肢を持つことを忘れずに、選ぶことを恐れずに。本当に嫌なことが起きた際には、断行すればいいだけのこと。それだけのことなのに、己の豊かな想像力を、起きてもいないことや起きてほしくはないことに働かせているのは馬鹿らしい。そんなことをしたところで、気が滅入っていくばかりであり、なんの意味もないのだから。
起きている事実にだけ目を向け、余計な心配事は考えない。まずは、それが出来るようになるだけで、恋愛が生活の中心ではなくなり、他のことを考えるスペースを得られる。恋人だろうがなんだろうが、結局は他人である以上、人の気持ちなど考えたところで100%分かりはしない。他者と共存していく上で、人の気持ちを考えること自体は大切なことだが、その中で辿り着いた答えが必ずしも絶対ではない。それも所詮、相手の立場になって考えた「自分の考え」に過ぎない。恋愛において、あなたの心配事を増やしてしまっているのは、常に相手であるようで、自分でもあるのだ。