「妬まれないために」

自分が気にしていなくても、どんなに善意のつもりでも、社会的、経済的な格差に加えて、特に女の場合は容姿の差も「友達だから」という理由一つで勝手に埋めて、フラットに扱おうとすれば痛い目に遭う。例えば、美人がブスを「友達だから」という理由で飲み会に連れて行き、男たちが美人ばかりをチヤホヤすれば、ブスが機嫌を損ねるのは当然のこと。僻まれたとて仕方がない。
そういった、格差によって生じかねないトラブルを念頭に置いて行動することは、間違いなく失礼なことだが、その方が不本意に相手を傷付けたり、自分が妬まれることは避けられる。ちなみに、相談ごとをする時も相手の立場や状況はきちんと見極めた方がいい。極端な話、ハネムーンについての相談を離婚調停中の人にするべきではない。「友達だから」で済む範囲は意外と狭い。

成功していない人だけが、自己肯定感が低いのであれば「頑張れ!」の一言で済むのだが、一概にもそうではないから面倒くさい。世間からすればとても優れている人でも、自己肯定感が低いことがよくある。幼い頃から芸能界にいた人や競争社会にいる人たち。彼らの場合、周囲に優れた人々が沢山いる分、自分を上手く評価することが出来なくなっている。つい凡人は「下を見てごらん」と肩を叩きたくなってしまうが、そんなことではきっと満たされないだろう。

「来年もそのままでいるの?」

人によっては、自己肯定感を高めるよりも低いままでかろうじて生きていく方が楽に思えているかもしれない。実際、考えることを放棄し、遊び呆け、二日酔いで一日を潰せば一時的にはハッピーだ。しかし、おそらく自分でも分かっている通り、それでは何も変わらない。二日酔いで一日を潰したあとも長い夜は続くし、現実はどこへも行かない。どんなにいい友達がいても、いい家族がいても、いい恋人がいても、いい推しがいても、いい宗教があっても、そんな人やものに出会えるのはこれからでも。とにかくこれだけは覚えておいてほしい。助かる気のない人だけは誰も助けることが出来ない。
私もこんなに長々と綴ったところで、インスタの通知ひとつに気を取られてページを閉じられてしまえばそれまでだ。正直、この先も読んでもらったところで、禁断の自己肯定感爆アゲ術のご紹介はない。ただ誰かに「変わりたい」と立ち上がってもらうための発破をかけることしか出来ない。でも、立ちあがろうとする時、人にはどんな不安があって、それにはどんな対処法があるのかを実はほんの少しだけ知っている。私も随分と長い間、自己肯定感の低さを盾にして、色んなことから逃げてきたから。

妹尾ユウカ

独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、
『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。

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